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やざわざわ…やざわざわ…





「き、きたぞ…」





にこ「…」

「おはようございます!」

にこ「…おはよう」

彼女は、矢澤にこ。若くして会社を設立。全国に家電量販店 「ヤザワ電気」を展開。

経営は順調に進み、ヤザワ電気はすぐさま家電量販店界のトップへと躍りでたのであった。


にこ「今日は私が直々に このヤザワ電気本店に勤務して営業のノウハウをあんたたちに叩き込むわ!」

にこ「1人でも多くのお客様に笑顔になって帰ってもらうのよ!いいわね!」

「はい!」





【その1】


にこ「いらっしゃいませ!」

にこ(お客様を笑顔にするにはまず私たちも笑顔でなければいけないわ)


「あのーすいませーん」

にこ「はい!いかがなされましたか?」

穂乃果「トースターはどこにありますか?」

にこ「かしこまりました それでしたらあちらでございます」




穂乃果「うーん…」

にこ「こちらのものはいかがでしょうか? 最新のものでございます。」

穂乃果「でも…」

にこ「でも…?」

穂乃果「私朝起きれないからアラーム機能ついてるトースターが欲しいんだけどなぁ…」

にこ「あるわけないでしょそんなの!!」





【その2】


にこ「つ、つい取り乱したわ…気をつけないと…」

「ちょっといいですかー?」

にこ「はい?」

凛「ラーメンが作れるものってありますか?」

にこ「ラーメンでしょうか?(だいぶざっくりしてるわね…)」

凛「はい!」

にこ「ラーメンでしたら…こちらの圧力鍋はどうでしょうか?」

凛「なにそれ?」

にこ「ラーメンのスープを作るのに最適かと思われますが…」

凛「めんどくさいにゃー…」

にこ「で、でしたら…もう少し詳しく教えていただけないでしょうか…?」

凛「うーん、インスタントラーメンみたいなのが欲しいにゃー」

にこ「…?」

凛「というか、もうインスタントラーメンでいいにゃー」

にこ「??」

凛「というわけで、インスタントラーメンはどこに売ってますか?」

にこ「だったら最初からスーパー行きなさいよ!!」





【その3】


にこ「きょ、今日のお客様は曲者揃いね…」

「あの、すみません…」

にこ「はい?」

海未「ええと、ブルーレイのレコーダーはどこに置いてあるんでしょうか…?」

海未「この階だというのはわかるのですが…迷ってしまって」

にこ(やっと普通の客が来たわ…!)

にこ「はい!それでしたらこちらのAV機器売り場の方の…」

海未「!?な、何を言うんですか!?」

にこ「へ?」

海未「そんな破廉恥な場所行くわけないでしょう!?」

にこ「あんた何か勘違いしてるでしょ!?」





【その4】


花陽「うむむ…」

にこ「…お、お困りですか?」

花陽「は、はい…どの炊飯器がいいかなーと…」

にこ「こちらはどうでしょうか? モデルは去年のものですがお買い得ですよ」

花陽「甘いです!」

にこ「え?」

花陽「炊飯器は美味しいご飯を炊くために日々進化し続けてるんですよ!!旧型だなんてもってのほか!」

にこ「す、すみません…」

花陽「私が今悩んでるのは無論最新モデルの中でです」

花陽「例えばこちら!こちらはスチーム機能がついていてよりお米がふっくらと炊き上がるんです!」

にこ「な、なるほど…」

花陽「それに対してこちらは土鍋で炊いたかのような仕上がりを徹底的に追求されているんです!」

にこ「そ、そうなんですか…」

花陽「で…こちらは…」



………




にこ「炊飯器も奥が深いんですね…」

花陽「はい!そうなんです!」

にこ「今日は色々と教えていただきありがとうございました!」

花陽「はい!ぜひ炊飯器を買う際、参考にしてください!」






にこ「…」


にこ「…あれ?」





【その5】


絵里「ちょっと!どうなってんのよ!」

にこ「お、お客様!どうなされましたか!?」

絵里「家電買いに来たっていうのにこの店置いてないじゃない!」

にこ「申し訳ございません!」

絵里「何が大手家電量販店よ 品揃えの悪い店ね がっかりだわ」

にこ「それで…何をお探しなのでしょうか?」

絵里「マトリョーシカよ」

にこ「マトリョーシカは家電じゃないわよ!」





【その6】


にこ「お買い上げありがとうございます!」

希「ホットプレート壊れてたから今日はいいの買えてよかったー これで家でもまた焼肉できるもんなぁ」

にこ(満足してる様子ね…やっぱりお客様が笑顔になるのを見るのは嬉しいわね)

希「そうだ!せっかくやしお礼にウチが占ってあげる」

にこ「占う?」

希「そ、このお店の未来をちょーっとね えーと…」

にこ「…」

希「3年以内に潰れるかも!やって」

にこ「なんてこと言うのよ!?」





【その7】


ことり「はぁぁ…♪」


にこ「…」


ことり「ふわぁぁ…♪」


にこ「あの、お客様…あまり長い時間マッサージチェアにいられますと他のお客様のご迷惑になりますので…」

ことり「もうちょっとだけ……♪」


ことり「ふわぁぁあ……♪」

にこ「座っててもいいからその声やめなさい!脳が溶けるわ!!」





【その8】


真姫「冷蔵庫はどこに置いてあるのよ…ここのフロアにはあるはずなのに…」

真姫「ママと一緒に来るべきだったわね…」


真姫「すいません」

にこ「はい?」

真姫「冷蔵庫の場所わかりにくいわよ」

にこ「も、申し訳ございません…冷蔵庫でしたr…」

真姫「めんどくさいからこの階のやつ全部買うわ」

にこ「は!?」





【その9】


にこ「疲れた…」

「すみません」

にこ「…はい」

ダイヤ「妹のスマートフォンを買い替えにきたのですが」

ルビィ「…」

にこ「ああ、それでしたらあちらへ…」


……


ルビィ「これにする!」

ダイヤ「それでいいですのね?」

ルビィ「うん!」

にこ「お姉様もご一緒に機種変更なされてはどうでしょうか?今ならお得なプランがございますよ」

ダイヤ「いえ、わたくしは結構です スマートフォンは勉強の妨げになりますので こちらで十分ですわ」

にこ(ガ、ガラケー…)


……



にこ「お待たせ致しました」

ルビィ「わー!新しいスマホだー!」

にこ「ありがとうございました」






ルビィ「わ!スクフェスすっごいやりやすいよ!」

ダイヤ「ルビィちょっとわたくしにもやらせてください!」

ルビィ「今ルビィがやってるの!」

ダイヤ「少しくらいいいじゃないですか!」





にこ「…」





【その10】


「ずらーーーーー!!!!??」


にこ「お客様!大丈夫ですか!?」

花丸「み、未来ずら…未来未来未来未来未来ずらーーーっ!!!」

にこ「え…?」

花丸「どこもかしこも未来ずら…ここは一体どこずら…?」

にこ「あの…何があったのか最初から話していただけます?」

花丸「実は友だちと待ち合わせする予定だったけれどいつの間にかここに迷い込んでて…」

にこ「待ち合わせ場所というのはどこでしょうか?」

花丸「ヤザワ電気って場所ずら」

にこ「ここよ!!」

花丸「ずら?」





【その11】


梨子「しいたけちゃん こっちよ」

しいたけ「ワン!」

梨子(私の名前は桜内梨子 これでも17歳 浦の星女学院2年生♪)

梨子(そしてこの子がしいたけちゃん)

しいたけ「ワン!」

梨子(少し前までは犬が苦手だったんだけど…今はこうやってお散歩もできるの♪)

梨子「しいたけちゃん 次はどこへ行こっか♪」

しいたけ「ワン!」

にこ「あの…お客様…」

梨子「はい?」

にこ「店内で犬を散歩させるのはやめていただけませんか!?」





【その12】


曜「わあ!このミシン使いやすい!」

にこ「あ、ちょっと!」

曜「え?」

にこ「ここ、これだと縫い目が少し目立つわ こういう所はこうやって…」

曜「すごい!そんなふうにできるんですね!」

にこ「でも筋は悪くないわ がんばればもっと上達するわよ」

曜「はい!ありがとうございます!」

にこ「…」

曜「…」

にこ「ってなんで商品勝手に使ってるのよ!?」

曜「今更ですか!?」





【その13】


果南「このお店結構広いですね」

にこ「より多くの家電を取り揃えるためにそのような設計になっております」

果南「よーし、それじゃあせっかくだしこのお店の階段で階段ダッシュしてから帰ろうかな」

にこ「今すぐ帰って」





【その13】


鞠莉「ねえ、このお店ごと買収してもいいかしら?」

にこ「帰れ」





【その14】


善子「魔k」

にこ「帰れ」

善子「まだ何も言ってないわよ!」





【その15】


にこ「はあ…はあ…今日に限ってなんで色々と客が来るのよ…」


「すーみーまーせーん」


にこ「はい?」

千歌「姉妹が迷ってしまったようなのでお店の中に放送かけるとかできますか?」

にこ「…かしこまりました」



「内浦からお越しの高海志満様、高海美渡様 高海千歌様がお待ちです」









にこ「おふた方はこちらの場所をおわかりなのでしょうか?」

千歌「多分それは大丈夫」

「千歌!」

千歌「あ、来た!」


美渡「ったく、どこいってんの!ケータイも出ないし!」

千歌「ごめーん充電切れちゃって」

志満「妹がご迷惑おかけしました…」

にこ「は、はあ…」

にこ「迷子になったのって…」

千歌「…てへっ♪」








────────





にこ「信じられないくらいに疲れた…これだったら本社で仕事してる方が全然楽だわ…」





にこ「…ただいま」


こころ「おかえりなさい!お姉様!」

ここあ「おかえりなさーい!」

虎太郎「おかえりー」

にこ「…あんたたち、いい子にしてた?」

こころ「はい!」

ここあ「ねえねえ!今日はお仕事どうだったの?」



にこ「…」




にこ(…明日も仕事がんばらないとね)



ここあ「ねえ?どうしたの?」

にこ「ごめんごめん 今日はほんっと大変だったわ」

こころ「何があったんですか?」

にこ「えっとね…」













虎太郎「おしまいー」